マルセイユ石鹸の歴史はとても古く、12世紀頃十字軍によってメソポタミアからもたらされたオリーブオイルの石鹸から進化したものと言われています。
マルセイユは重要な港であり、石鹸作りにオリーブの豊富なプロヴァンスからオイルを調達できること、地中海の海水を利用できること、そしてミストラルの強い風で乾燥させるなどが好条件となって、石鹸産業が発達します。
やがて石鹸メーカーは地中海沿岸の他の都市にも広がったのですが、フランス国内に粗悪品が出回るようになったため、17世紀にルイ14世がマルセイユ以外での石鹸の製造を禁止し、サボナリーにも厳しい製造基準を設けました。
その後19世紀に石鹸生産の最盛期を迎えましたが、次第に機械工業化での大量生産の波にのまれ、今では伝統的手工業の技法でマルセイユ石鹸を作り続けている工場はごくわずかしかありません。
昔ながらの釜炊きけん化法で生産されたマルセイユ石鹸は、石鹸職人の手作業などにより何週間もかけて作り上げられます。そのため1度に大量に作ることができませんが、今もかたくなにこの技法を守っているサボナリーが残っていることにどこかほっとさせられます。
サロン・ド・プロヴァンスにあるマリウス・ファーブルのマルセイユ石鹸博物館では、伝統的な石鹸の製造方法が展示されていて、気軽に見学することができます。
http://www.marius-fabre.fr/site_r04visites/0400.htm